(00:58:16から)
Q:俳優の役に対するメソッドは、行動分析のメソッド、身体的行動のメソッド、交流のメソッドの三つで間違いないでしょうか?
A:その通りです。
行動分析のメソッドと身体的行動のメソッドはお互いに結び付いています。
行動分析のメソッドは二つの部分から成り立っています。はじめの部分は知性による戯曲の研究からなり、後半は、そこから得たものを実際に体を使って試すという実践の部分により成り立っています。知性による分析と身体的実践がある事により、知性の後に身体で確認し、身体で実践してみた後で更に知性によって分析し直すというように二つは影響を与え合っています。
スタニスラフスキーは交流のメソッドを『役への新しいアプローチのメソッド』と呼んでいました。これは、演劇芸術の土台となるものです。なぜかと言えば交流のプロセス(エネルギーの交換)が芸術に命を与えるからです。エネルギーの交換がなければ命もないのです。
この交流のメソッドは人間の能力そのものを発達させてくれます。その能力とは、舞台にいる間の瞬間瞬間において周りの世界を受容する能力であり、リアルにその場で思考する能力です。つまり、このメソッドは相手の考えや感情を見て感じ取る能力を育ててくれ、芸術家をより繊細な存在にしてくれるのです。勿論、システムが出来た当初は他にも沢山のメソッドがありました。その中でもスタニスラフスキー自身が拒否したものもあります。
危険だと感じたからですが。
今残っている土台となるメソッドが先程挙げた3つのメソッドです。