視覚化はあらかじめ準備したほうが良いのですかという質問ですが、視覚化は家でやってきて、映画フィルムをどんどんリハーサルごとに濃くしていかなければなりませんが、毎回毎回、電車の中とか、家の中で視覚化していると、だんだん視覚化が楽になっていきます。 で、舞台上でやる時には、もうあまり注意を向けなくても、勝手に視覚化が出てくるようになります。
例えばですが、私が自分の人生を振り返るとして、私には20個ぐらいのすごくはっきりした視覚化があります。事件が起こっているので。 その事件は実人生の中で何回も何回も思い出します。それを勝手に視覚化してしまいます。 私が作っている全ての作品は、全てこの20個の視覚化をもとにして、作っています。どんな作家であっても、どんな作品であっても、この人生の20個の視覚化を使って、これらの作品を作っています。
悲劇的な場面だったり、嬉しい場面、悲しい場面、全部自分の人生から取っています。それが私の人生の経験だから、使えるのです。 この自分自身の経験から、スタニスラフスキーは、芸術、創造ができるという風に言っています。
つまり私たちは自分の人生の経験を使って、他の人のために芸術作品を作っているということです。 これが私たちの仕事。創造の仕事です。
みなさんも同じことをやります。自分が人生ですごく感じた経験があると思います。 どんな作品でも、自分の経験を思い出して、もう一度生き直さなければなりません。ペレジヴァーニ(追体験)とはもう一度生き直すという意味です。
で、これから生きていくと、いろんな体験するし、経験もすると思いますが、それも創造の箱、引き出しにしまっておくようにしてください。すぐに出せるように。